祝詞

一切成就祓

 極めてきたなきたまり無ればきたなきとはあらじ 内外うちとの玉垣きよくきよしと申す

祈念祝詞

 掛巻かけまくかしこき 諸神等もろかみたち廣前ひろまえかしこかしこみももうさく 

 宇豆うず幣帛みてぐら並びに 種々くさぐさの物を捧げ供へて 丹精きよきこころの誠を先とし 

 神代かみよ古風のり崇敬あがめ まさにすなお根元もともとかえりよりし 邪曲よこしま末法すえののり棄捨すてて 

 今神道かみのみちの妙なるわざを 奉願祈きがんたてまつり 吾國根元はじめはらいもち稱辭奉たたえごとをえたてまつ此状このさまを 平げく安げく聞食きこしめして 

 願主 身心みこころ 安穩やすく もろもろの 病ふつに除き 寿命いのち長延ながく 福禄のびさいわい 圓満まどかにして 

 家内いえのうち 親属うからやから 朋友ともとちまでも 事故ことゆえなく愚なる心を明しめ給い 何はの事もたるおもうより楽しきは莫れば たることをしらしめ 

 牛馬の蹄にいたるまで 安穩やすく 息災まめやかにして 憐愍めくじとおぼすみこころ垂給たれたまえと かしこかしこみも申す 

 辭別ことわけて申さく 穢気さわり 不浄けがれ 不信うたがい 懈怠おこたりの罪 咎 たたりありて 諸神等もろかみたちの御心に不叶共かなわずとも 廣く厚き仁慈いつくしみ垂給たれたまいて 

 清き御心に宥恕なだめゆるし給て 神直日命かんなおひのみこと 大直日命おおなおひのみことと見直し聞直し給て 祈願圓満感應成就 無上霊宝 神道加持

月並祭

 これの神床かみどこに命ませまつ掛巻かけまくも綾にかしこ大神おおかみ大前おおまえに かしこかしこみももうさく 

 大神おおかみの廣き厚き恩頼みたまのふゆに依りて 麗しく健やかに家事なりわいの事々に勤しみ務めるを以ちて 宇豆うず弊帛みてぐらささげ奉りて 

 今日きょう生日いくひ足日たるひ月次つきなみ御祭みまつり仕へまつさまを 平らけく安らけく聞食きこしめして 

 今も行先も彌遠いやとう彌永いやながに 大神の高き尊き御恩頼みたまのふゆに依りて 禍神まがかみ禍事まがこと無く

 家門いえかど高く五十茂いかし 八桑枝やぐわえの如く立栄たちさかえしめ給へと 乞祈奉こいのみまつらくさま聞召きこしめし給へとかしこかしこもう

五元之神を拝む詞

 掛巻かけまくかしこ産霊之大神達みむすびのおおかみたちくすしき神霊みたまに依りて あれ出座いでませ五柱いつはしら元津神もとつかみは 

 風の神 志那津比古之命しなつひこのみこと 志那津比賣之命しなつひめのみこと 

 火の神 火産霊之命ほむすびのみこと 

 金の神 金山比古之命かなやまひこのみこと 金山比賣之命かなやまひめのみこと 

 水の神 彌都波能賣之命みづはのめのみこと 

 土の神 埴山比賣之命達はにやまひめのみことたち 

 世に所有物あらゆるもの生幸なしさきわへ給へる いと奇比成くしびな御恩頼みたまのふゆに報い奉らむとて 稱辭竟奉ただえことをえまつさまを平けく安けく 聞食きこしめせもう

三種大祓

 吐普加身依身多女とふかみえみため 寒言かんごん 神尊しんそん 利根りこん 陀見たけん 波羅伊玉意はらいたまひ 喜餘目出玉きよめいたまう

身滌大祓

 高天原たかあまはら神留座かむづまります。

 神魯伎かむろぎ 神魯美かむろみの詔みこともちて。 

 皇御祖すめみおや かむ 伊邪那岐大神いざなぎのおおかみ。 

 筑紫の日向ひむがの橘の小戸おと阿波岐原あわぎはらに 御禊みそぎ祓へ給ひし時に生座あれませ祓戸はらいどの大神達。 

 諸々の枉事まがごと罪穢れをはらひ賜へ清め賜へと申す事の由を 天津神国津神。 

 八百萬の神達共に聞食きこしめせとかしこかしこみ申す

祓詞

 掛まくもかしこき 伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊祓へ給ひし時に成り座せる祓戸の大神等 

 諸々の禍事 罪 けがれ有らむをば 祓へ給ひ 清め給へともうす事を 聞食せと かしこかしこみももう

六根清浄の大祓

 天照皇太神あまてらしますすめおおがみのたまはく 人は則ち天下あめがした神物みたまものなり 

 須らく静謐しずまることをつかさどる心はすなわちかみとかみともとのあるじたり 

 心神わがたましいいたましむることなかれ 是の故に 

 目にもろもろの不浄を見て 心にもろもろの不浄を見ず 耳にもろもろの不浄を聞きて 心にもろもろの不浄を聞かず 

 鼻にもろもろの不浄を嗅ぎて 心にもろもろの不浄を嗅がず 口にもろもろの不浄を言いて 心にもろもろの不浄を言わず 

 身にもろもろの不浄を触れて 心にもろもろの不浄を触れず こころもろもろの不浄を思ひて 心にもろもろの不浄を想はず 

 此の時に清く潔きことあり もろもろのりは影とかたちの如し 清くきよければ 皆花よりぞ木実このみとは生る 我が身は則ち 六根清浄ろくこんしょうじょうなり 

 六根清浄なるが故に五臓の神君安寧なり 五臓の神君安寧なるが故に天地の神と同根なり 天地の神と同根なるが故に万物の霊と同体なり 

 万物の霊と同体なるが故に 為す所の願いとして成就せずといふことなし 無上霊宝 神道加持

天地一切清浄祓

 天清浄てんしょうじょう 地清浄ちしょうじょう 内外清浄ないげしょうじょう 六根清浄ろっこんしょうじょうと はらい給う 

 天清浄てんしょうじょうとは 天の七曜しちよう 九曜くよう 二十八宿を清め 

 地清浄とは 地の神三十六神を 清め 

 内外清浄ないげしょうじょうとは 家内かない 三寳さんぽう 大荒神だいこうじんを 清め 

 六根清浄とは 其身そのみ 其體そのたいの穢れを はらいたまえ 清め給ふ事の由を 八百万の神等かみたち 諸共に 小男鹿さおしかの やつ御耳おんみみを 振立てきこめせと申す

大祓詞-延喜式祝詞から

 うごなはり侍る親王みこたち 諸王おおきみたち 諸臣まえつぎみたち 百官もものつかさの 人等ひとども もろもろ 聞食きこしめせよと宣ふ 

 天皇すめら朝廷みかどつかへまつる 比礼ひれくる伴男とものを 手襁たすきくる伴男とものを ゆぎ伴男とものを たち伴男とものを 伴男とものを八十やそ伴男とものをを始めて 

 官官つかさづかさつかへまつる人等ひとどもの あやまちおかしけむ雑雑くさぐさの罪を 今年六月のつごもりの大祓に 祓給ひ清給ふ事を もろもろ聞食きこしめせよと宣ふ 

 高天原たかまのはら神留かむづます 皇親すめむつ 神漏岐かみろぎ 神漏美かむろみみことちて 八百万の神等かみたちを 神集かむつどへに集へ賜ひ 

 神議かむはかりはかり賜て 皇孫之尊すめみまのみことは 豊葦原とよあしはら水穂みづほの国を 安国やすくにと平けく所知食しろしめせ事依ことよさまつりき 

 如此かくよさまつ国中くぬちに 荒振あらぶる神達をば 神問かむとわしにとわし賜ひ 神掃かむはらい掃賜はらひて こととい磐根いわね 樹立こだち 草の垣葉をも語止ことやて 

 天磐座あまのいわくら放ち あまの八重雲を伊頭いつ千別ちわき千別ちわきて 天降あまくだしよさまつりき 如此かくさしまつり四方よも国中くになかと 大倭おおやまと日高見之国ひたかみのくに安国やすくにさだめまつりて 

 下津磐根したついわね宮柱みやばしら 太敷ふとしき立て 高天原たかまのはら千木高ちぎたかしりて 皇御孫之命すめみまのみこと美頭みづ御舎みあらかつか奉て 天之御蔭あまのみかげ 日之御蔭ひのみかげかくりまして 

 安国やすくにと平けく所知食しろしめさ国中くぬちに 成出なりいであま益人等ますひとらが あやまち おかしけむ雑々くさぐさ罪事つみごとは 天津罪あまつつみと 

 畦放あぜはなち 溝埋みぞうめ 樋放ひはなち 頻蒔しきまき 串刺くしざし 生剥いきはぎ 逆剥さかはぎ 屎戸くそへ 

 許々ここのを太久だくつみを 天津罪あまつつみのりわけて 国津罪くにつつみと 

 生膚断いきはだたち 死膚断しにはだたち 白人しろひと 胡久美こくみ 己が母おかせる罪 母が子おかせる罪 母と子とおかせる罪 子と母とおかせる罪 けものおかせる罪 昆虫はうむしわざわひ 

 高津神たかつかみわざわひ 高津鳥たかつとりわざわひ けもの たふ蟲物まじもの為罪せるつみ 

 許々ここ太久だくの罪でむ 如此かくいでば 天津宮あまつみや事以ごともちて 大中臣おおなかとみ 天津金木あまつかなぎ本打もとうち切末きりすえ打断うちたちて 千座ちぐら置座おきくら置足おきたらはして 

 天津菅曾あまつすがそ本苅もとかり断末たちすえ苅切かりきりて 八針やはり取辟とりさきて 天津祝詞あまつのりと太祝詞事ふとのりとごとれ 

 如此かく乃良のら天津神あまつかみ天磐門あまのいわと押披おしひらきて 天之八重雲あまのやへぐも伊頭いつ千別ちわき千別ちわき聞食きこしめさむ 

 国津神くにつかみ高山乃末たかやまのすえ 短山之末ひきやまのすえのぼりして 高山たかやま伊穂理いほり 短山ひきやま伊穂理いほりかきわけ所聞食きこしめさむ 

 如此かく所聞食きこしめしてば 皇御孫之命すめみまのみこと朝廷みかどはじめて 天下あまのした四方国よものくにには 罪と云ふ罪は不在あらじと 

 科戸之風しなとのかぜ天之八重雲あまのやへぐも吹放事之如ふきはなつことのごとく 朝之御霧あしたのみきり 夕之御霧ゆうべのみきりを 朝風夕風の吹掃事之如ふきはらふことのごとく 

 大津辺おおつべる大船を 舳解放へときはなち艫解放ともときはなちて 大海原おおうなばら押放事之如おしはなつことのごとく 彼方之おちかたの繁木しげきもとを 焼鎌やきがま敏鎌とがまもち打掃事之如うちはらうことのごとく のこる罪は不在あらじと 

 祓賜はらいたま清賜事きよめたまうことを 高山之末たかやまのすえ 短山之末ひきやまのすえより 佐久那太理さくなだり落多支都速川おちたきつはやかわの瀬に瀬織津比賣せおりつひめ云神いうかみ 大海原おおうなばら持出もちいでなむ 

 如此かく持出もちいでいなば 荒塩之塩あらしおのしお八百道之塩やおじのしお八百会やおあい速開都比賣はやあきつひめ云神いうかみ 持可可呑もちかかのみてむ 

 如此かく可可呑かかのみてば 気吹戸いぶきど気吹主いぶきどぬし云神いうかみ 根国ねのくに底之国そこのくに気吹いぶきはなちてむ 

 如此かく気吹いぶきはなちてば 根国ねのくに底之国そこのくに速佐須良比賣はやさすらひめ云神いうかみ 持佐須良比失もちさすらいうしないてむ 

 如此かくうしないてば 今日より始て罪と云ふ罪は不在あらじと 高天原たかまのはら耳振立ふりたてて聞物きくものと 馬牽ひき立て 

 今年六月の晦日つごもりのひの 夕日之降ゆうひのくだち大祓おおはらえに 祓給ひ清給ふ事を もろもろ聞食ききたまえへよと宣ふ 

 四国よくに卜部等うらべども 大川道おおかわじに持ち退まかり出でて 祓へれと

大元造化三神報恩之祝詞

 掛巻かけまくいとかしこ天地あまつち元津神もとつかみ 天御中主之大御神あまのみなかぬしのおおみかみ 高皇産霊之大御神たかみむすびのおおみかみ 神皇産霊之大御神達かむみむすびのおおみかみたち

 奇しく妙成たえなる御恩頼みたまよりこの現世うつしよ生出あれいでたる身にし有れば 其本津そのもとつ御恩みめぐみに報い奉らむと稱辭竟ただえごとをまつらくは 

 弥高いやたか底氷無そこいな高天原たかあまはら幽界かくりよ主宰しめし給ひはじめも無くおわりも無く常磐ときわ堅磐かきわまもり座坐ましまして 

 眼に不見みえぬ元津気もとつけ百不八十ももたらずやそ神気かみけ生給なしたまひ 眼に所見物形みえるものは日の御国みくに 月の御国みくに 星の御国みくに 亦是またこ地球おおつちありては 

 うつしき蒼生あおひとくさはじめ息有いきある息無いきなきも世にありとし 在物あるものかぎり産化うむ出宇斯波伎いでしはきさいわへ給へる御化功みいさおの 大き久き廣き厚き大愛おおむうつくしみかがふりて 

 この現世うつしよあらかぎり大御神達おおみかみたちの 本津もとつ御心みこころまにまに此心このこころつくして 捲事無うむことな此身このみつとめ怠事無おこたることなく 

 敬ひかしこみもつかへまつさまを 平けく安けく聞食きこしめし四方よよの国の蒼人草あおひとくさて 天地あまつち神理かみわざたが不令しめず開世ひらげよおく不令しめず 

 種々くさぐさ禍無わざわいなく恙無く令在あらしめ給ひ まもりまもりめぐみさちわへ賜へと 眞空みそら遙に拝みまつらくをもう

神棚拝詞

 此れの神床かむどこに坐す 掛けまくもかしこき天照大神 産土大神等うぶすなのおおかみたち 諸々もろもろの大神等の大前に かしこかしこみももうさく 

 大神達の広き厚き御恵みをかたじけなまつり 高き尊き神教みおしえのまにまに 直き正しき真心持ちて 誠の道に違ふことなく 負ひ持つ業に励ましめ給ひ 

 家門いえかど高く 身健みすこやかに 世の為人の為に尽くさしめ給へと かしこかしこみももう

十種大祓

 高天原たかあまはら神留かみづまり坐す 皇神等すめかみたち鋳顕いあらはし給ふ 十種瑞津とくさみつの宝を以て 天照国照彦あまてるひこ 天火明櫛玉あめほあかりくしたま 饒速日尊にぎはやひのみことに 授給さづけたもう事誨おしえてのたまはく 

 いましこの瑞津宝みづのたからを以て 中津国なかつくに天降あまくだり 蒼生あおひとぐさ鎮納しづめおさめよ  

 蒼生あおひとぐさおよび萬物よろづのもの病疾辭やまいのこと阿羅婆あらば 神宝かんたからを以て 御倉板みくらいた鎮置しづめおきて 魂魄みたましづめまつりなして 瑞津宝みづのたから布留部ふるへ其の神祝かんほぎことばいはく 

 きのえ きのと ひのえ ひのと つちのえ つちのと かのえ かのと みづのえ みづのと 瓊音にのおと 布瑠部由良由良ふるへゆらゆら

 如此かく祈所為婆いのりせば 死共まかるとも更に蘇生いきなんとおしへ給ふ 

 天神あまのかみの御祖みおや御詔みことのりかけたまいて 天磐船あまのいわふねに乗りて 河内国かわちのくに河上かわかみ哮峯いかるがみね天降あまくだりましましして 

 大和国やまとのくに排尾ひきの山の麓 白庭の高庭に遷座うつしましまして 鎮斎いつきまつり給ふ 

 なづけ石神大神いそのかみおおがみ申奉もうしたてまつり 代代よよ神宝かんたからを以て 萬物よろづのものの為に布留部ふるへ神辭かんことを以て 司と為し給ふ故に布留御魂神ふるみたまのかみ尊敬そんけんしたてまつり 

 皇子すめみこと 大連おおむらじ 大臣おとど その神武かみたけきを以て いつきつかえまつり給ふ物部もののべ神社かみやしろ 天下あめがした 萬物よろづのものの 聚類たぐい化出なりいでん大元おおもと神宝かんたからは 

 所謂いはゆる 瀛都鏡おきつかがみ 邊都鏡へつかがみ 八握生剣やつかのつるぎ 生玉いくたま 死反玉まかるがえしのたま 足玉たるたま 道反玉みちかえしのたま 蛇比禮おろちのひれ 蜂禮はちのひれ 品品物比禮くさぐさもののひれ 更に十種神とくさのかみ 

 きのえ きのと ひのえ ひのと つちのえ つちのと かのえ かのと みづのえ みづのと 瓊音にのおと 布留部由良ふるべゆらゆら

 由良加之ゆらかし奉る事の由縁よしもちて 平けく聞食きこしめせと 命長遠ながく子孫繁栄と 常磐ときわ 堅磐かきわに護り給ひさきわし給ひ 加持奉る 神通じんづう神妙じんみょう神力しんりき加持