第2章 審神者制度

1.関係機関

監督省庁

 審神者は歴史保全省対策局審神者管理部審神者課所属となり、歴史保全省が審神者及びその業務の監督を行なう。但し、前線指揮官である審神者は本来陸軍特殊部隊(歴史保守歴史遡行部隊)の士官(将官・佐官・尉官)或いは下士官(曹長・軍曹・伍長)であり、軍人である。歴史保全省には出向という形式をとる。また、刀剣男士という付喪神の分霊を指揮し、時間遡行軍という異形を相手とすることから、宮内庁神祇局及び護歴神社とも連携を取るものとする。

 なお審神者には歴史保全省対策局審神者管理部担当官課職員が『担当官』として補佐に就く。担当官は政府及び歴史保全省と、現代の一般社会(これを現世と称する)から隔離されている審神者の連絡役であり相談役である。決して審神者の上司などではなく、また審神者の部下や御用聞きでもない。同様に歴史保全省職員は審神者の上司ではない。仮令対策局長であれ、審神者への命令権はない。これは『審神者に関する基本的な法令(通称審神者基本法)』に明記されている通りである。審神者への命令権を持つのは天皇陛下ただおひとりであり、他の政府関係者からの指示は飽くまでも依頼である。

監察機関

 健全な本丸運営、審神者業務遂行のため、宮内庁監察局が適宜審神者及び歴史保全省の監察を行なう。審神者基本法、刀剣男士保護法、審神者保護法に基づき、捜査・逮捕・起訴の権限を持ち、基本的に国家反逆罪が適用される。場合によっては政府そのもの(歴史保全戦争に関する部署・政策)に対しても監察を行なう。歴史保全戦争に関する監察に限り、監察機関は政府及びその他一切の機関・団体の意向や制約を受けることはない。

審神者支援システム

こんのすけ
 正式名称は『審神者業務支援管狐』である。宮内庁神祇局陰陽部こんのすけ課の術者により使役される管狐で、審神者業務のサポート、緊急時の政府からの連絡伝達を行なう。また、審神者の精神的慰撫を目的とし一般的に可愛らしいとされる容姿に設定されている。稲荷伸の特別なご配慮により、特に優秀な個体を提供していただいているため、それぞれのこんのすけにより性格の個体差もある。当然ながら能力は全て同等ではあるが、審神者との関係により、こんのすけから提供される情報量は変わってくることが判明している。
 なお、こんのすけは審神者一人につき1体が与えられる。与えられた当初はこんのすけの使役者は宮内庁神祇局の術者であるが、こんのすけと審神者両者が希望すれば、使役者を審神者へと変更することが可能である。使役者変更後もこんのすけの職能・職権に変更はなく、問題なくサポートを行うことが出来る。飽くまでも霊力供給源が神祇局の術者か審神者かという程度の違いしかない。審神者を使役者とする場合、審神者退職後もこんのすけを使役することが可能となる。
 こんのすけの使役者変更手続きについては各担当官に相談の上、申請書を提出すること。
城下町
 万屋商店街を中心に。関係省庁、教育機関、及び関係者居住区で構成された亜空間都市。本丸と同等の結界が展開されており、現世よりも審神者の安全に配慮されている。審神者自身の安全及び審神者を狙ったテロ対策のため、審神者の現世外出が制限されていることから、審神者の娯楽及び関係部署の職員の安全のために建設された。
行政区域
歴史保全省
審神者と密接に関わる対策局、時間遡行に関する技術局がある。管理局のみ、現世の官公庁の総合庁舎内に残されている。
宮内庁
審神者制度や刀剣男士に関わりの深い神祇局及び監察局のみ城下町庁舎にある。
陸軍歴史保守部隊基地
歴史保守部隊の待機所且つ指令所。
演練アリーナ
嘗ての演練場で、各国ごとにフロアが分かれている。基本的に所属国のフロアにしか入れない。各フロアには受付と200人収容の観戦アリーナ兼ロビー、100の対戦室が存在する。
大会議場
審神者の合同会議が開催される会議場。一番大きな議場は5000人収容、小さなものは10名収容など、大小合わせて20ほどの議場がある。
政庁ゲート
現世の歴史保全省庁舎・宮内庁庁舎・陸軍本部と繋がっている時空ゲート。対策局員・技術局員・神祇局員・監察局員・歴保部隊員は申請不要で利用可能だが、他の政府職員は各種手続き・申請許可を経て1回限り(往復)の通行証を取得しなければ使用不可能。これは歴保戦争政策に無関係の部署の官僚や政治家による不要の干渉を防ぐための措置であり、審査基準は厳しい。
本丸ゲート
演練・会議に参加する場合など、審神者や刀剣男士が城下町を訪れる際に使用する各本丸と繋ぐゲート。霊力認証により自本丸にしか繋がらない。審神者と刀剣男士が日常的に使用するため、使用許可は不要。
万屋街エリア
万屋商店街
各専門店が並ぶ大通り。町並みは江戸中期を模している。
ショッピングモールYORODUYA
各種専門店のほか、フードコートやシネコンなども入っている複合商業施設。
万屋歓楽街
居酒屋・バー・クラブ・キャバレー・ホストクラブ・ダンスホール・ディスコなどが立ち並ぶ一角。刀剣男士用遊郭の他に審神者用のキャバレー・ホストクラブ・風俗店もある。刀剣男士用施設の従業員は様々な付喪神、審神者用施設の従業員は人間、人間用風俗店の従業員はセクサロイドであり、売春・買春には該当しないようになっている。
万屋球場
娯楽施設。年に数回、現世のプロ野球チームを招いての試合が行われる。球場の貸し出しが可能で、本丸対抗での試合など個人利用も可能。4年に1度HBC(本丸ベースボールクラシック)が開催される。稀に短刀脇差幕末刀を対象にした青空野球教室も開かれる(講師はプロ選手)。使用申請は球場窓口にて申請書を請求のこと。
万屋アリーナ
基本的にサッカー・ラグビーなどの球技のプロチームを招いての試合が行われる。年に1度、アンケート結果によって現世の芸能人による歌謡祭も開かれる。また、時折粟田口ご一同様や篭手切江様によるアイドルコンサートも開催される。球技試合に関しては個人利用も可能であり、使用申請はアリーナ窓口にて申請書を請求のこと。
Round-OneYORODU
ボーリング、スカッシュ、フットサル、ボルダリング、テニス、ローラースケート、アイススケートのスポーツ施設とゲームセンター・カラオケが併設された大型遊戯施設。 ※審神者ランクZ以下は利用不可。

 ※これらの施設の飲食・使用料金は審神者ランクによって変化する。

審神者ランク 使用料金 例:映画料金
SS 基本料金の10% 200円
S 基本料金の25% 500円
A 基本料金の50% 1000円
B 基本料金の80% 1600円
C 基本料金 2000円
D 基本料金の150% 3000円
Z 基本料金の450% 9000円
ZZ 基本料金の500% 10000円
学術エリア
審神者初等学校
審神者資質ありの6歳から12歳が学ぶ初等教育機関。入学は任意で強制ではない。霊力が高く現世での通常の生活が困難な子供の避難所としての役割も持つ。通常の小学校のカリキュラムとともに霊力制御の基礎を学ぶ。審神者になることは強制ではなく、卒業後は現世の学校への進学も可能。
審神者中等学校
審神者資質ありの12歳から15歳が学ぶ教育機関で、現世の中学校に相当する。現世の中学校のカリキュラムとともに、霊力操作を学ぶ。審神者になることは強制ではなく、卒業後は現世の学校への進学も可能。
審神者高等学校
審神者資質ありの15歳~18歳が学ぶ中等教育機関。現世の普通科高校のカリキュラムとともに審神者の専門教育を受ける。基本的に審神者高等学校卒業後は審神者となることが定められており、適性の不適正判定が出ない限りは審神者に任官する。最終学年である第3学年10月には1ヶ月の本丸実地研修があり、実地研修で不合格判定が出た場合は、卒業後現世に戻るか審神者短期大学で再度学ぶかを選択する。
審神者短期大学
高校卒業以降(飛び級利用時は16歳以上)の審神者資質ありの者が通う養成所。満60歳以上は入学試験に健康診断と体力測定が追加される。2年間をかけて審神者制度について学び、最終学年の2月に1ヶ月の本丸実地研修がある。実地研修にて不合格判定が出た場合は政府職員育成カリキュラムへと移行するが、これは国家公務員試験に合格したと同意ではないので、カリキュラム終了後インターンシップを経て国家公務員採用試験を受験することになる。なお、審神者短期大学は必ず審神者になることが義務付けられており(そのため入学時に誓約書提出必須)、在学中から準国家公務員資格を有し、給与が発生する。
審神者生涯学習センター
現役審神者向けの各種講座が受講可能。各講座は実践講座(結界術や護符作成など)と教養講座(歴史、考古学、国学、茶華道など)があり、受講期間は1回限りのものから半年まで様々。詳しくは歴史保全省ホームページを確認のこと。
居住エリア

 審神者養成所の教職員や万屋街職員(万屋街で働く人間はすべて国家公務員)の住宅があり、それに伴い、生活に必要な施設もおかれている。

簡易宿泊所
政府職員や審神者が一時滞在できる施設。使用料は無料で、本丸に準ずる高いセキュリティを有する。
守宮記念病院
居住区にあるが、居住区全ての住人が利用できるわけではなく、審神者・歴保省職員・神祇局局員・歴保特殊部隊員のみが利用可能。通常の疾病・怪我だけではなく、穢れによる不調・霊障などにも対応している。なお、病院名の『守宮』は第一号審神者である白菊宮の御称号。
審神者在宅通信による自動決済システム
 所謂通信販売システムで、本丸にいながら様々な物資の購入が可能。支払いは審神者ID・刀剣男士IDによるオンライン決済オンリー。決済後、在庫があれば直ぐに指定の配送場所へと商品が転送される。
審神者生協
ごく一般的な食料品・生活用品を取り扱う。現世での賞味期限間近な商品や、訳あり商品を取り扱うため、かなり廉価で販売される。審神者と刀剣男士の最低限の生活水準確保のため、審神者・刀剣男士であれば使用制限はない。
審神者高島屋・審神者成城石井
高級食材や嗜好品を取り扱う高級店。現世の同店舗と同様、それなりの品質と価格での販売である。戦績不良(審神者ランクD以下)の場合、使用許可は下りない。またランクSS及びSについてはVIP会員として利用割引がある。
審神者トイザらス・審神者蔦屋・審神者BicCamera
娯楽品・電化製品を取り扱う。戦績不良(審神者ランクD以下)の場合、使用許可は下りない。またランクSS及びSについてはVIP会員として利用割引がある。
本丸電脳通信システム
 現世でいうところのインターネットに該当する。但し、独自のネットワークで構成されており、本丸及び城下町以外からアクセスすることは出来ない。また、政府から支給された端末・携帯端末、審神者通販にて購入後申請許可の下りた端末からのみアクセス可能。
 現世のネットサービスは閲覧のみ可能となっており、情報発信は機密保持及び安全対策のため不可である。
 また、現世の家族・友人との連絡にメールやビデオチャット・音声通信を使用することは可能だが、安全と機密保持のため、担当官に申請後審査が必要となる。申請については担当官に相談後、申請書を取り寄せて申請すること。
 なお、審神者同士の通信はメール・ビデオチャット・音声通信ともに独自システムを構築しており、申請は不要。セキュリティも強固で監察局の監視対象外となり、プライバシーは守られる。
審神者交流掲示板
 20世紀のインターネット黎明期から電脳空間で大きな存在であった某巨大掲示板を模した審神者交流システム。通称『328(さにわ)ちゃんねる』。システム構築は歴史保全省技術局、管理運営は宮内庁監察局が行なっている。
 現世から隔離されている審神者の愚痴の吐き捨て場として亜空間上のネット空間に設置されており、現世からの閲覧・書き込みは勿論のこと、上記システムにて許可の下りている端末以外からの閲覧・書き込みも不可。常時管理者(監察局局員)がスレッドを巡回しているが、利敵行為に該当する書き込み・スレッドでなければ規制・個人特定はされない。
 類似したものに相談特化の『さにわ知恵袋』『刀剣男士知恵袋』があり、SNSツールとしてのSanitter、Sanistagram、SaniceBook、Sanisivもある。

2.審神者の種類

 審神者とは『眠っている物の想い・心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ者』のことを示し、刀剣男士の依代である模擬刀剣(審神者の霊力でできた刀剣)に分霊を降ろし、刀剣男士として受肉させる能力のある者のことである。更に最前線の指揮官として刀剣男士の主となり、前線基地(通称本丸)を運営する者でもある。

 審神者には能力・出自によって下記4種類が存在する。

甲種審神者
審神者制度発足以降の時代よりその生まれ育った時代にて選出された審神者。適性検査で陽性反応が出た者のうち、審神者養成機関を卒業後に任官した者。現在の審神者のほぼ全てがこの甲種審神者となる。
乙種審神者
審神者制度発足以前の時代より選出された審神者。五神官(天皇陛下、伊勢神宮祭主、伊勢斎宮、賀茂斎院、護歴神社祭主)がご神託により感知した者を、歴史保全省及び内閣府官房室が3か月に亘る調査を行い、人物に問題なしと判断してスカウト、任官した者。現在、過去の時代からのスカウトは行なっておらず、該当する審神者はいない。
神薦審神者
審神者制度発足黎明期に審神者となった者。天照坐皇大御神、素戔嗚尊、月読命をはじめとする天津神々・国津神々の推薦を受けて審神者に就任した最初期の審神者で、発足当初は16名いた。第一号は当時の第三皇子・守宮邦仁親王殿下。現在は素戔嗚尊ご推薦と月読命ご推薦の2名の神薦審神者が存在する。
寺社薦審神者
審神者制度発足黎明期に審神者となった者。神薦審神者だけでは戦力が足りず、官制社・名刹古刹からの推薦を受けて審神者に就任した者。発足当初は51名いた。現在、該当する審神者はいない。

3.審神者の資格

審神者の能力

 審神者の霊力というと特別な力のように思われがちだが、そうではない。実はほぼ全ての日本人がその力を大なり小なり持っている。決して審神者は『選ばれた特別な存在』というわけではない。日本では信じる信じないに個人差はあれど、『付喪神』や『鬼』『怨霊』をはじめとした精霊信仰が国民の精神的基盤に根付いている。そのため、自覚の有無に関わらず大和民族・アイヌ民族・琉球民族共通の資質として『眠れる器物の心・想いを目覚めさせる能力』は持っている。しかし、この戦いにおける必要能力『自ら戦う力を与え、震わせる技を持つ者』となると、流石に全国民に該当するというわけではない。つまり、日本国民の殆ど全てが持つ力の中で特に強い力を持つ者が『審神者の霊力』を持つとされているのである。

 また、霊力の他、祝詞・呪符による結界術、ごく一般的な一人暮らしが出来る程度の家事能力、一般の事務職が勤まる程度のパソコンスキル・文書作成能力、史学に基づく指揮能力が最低限必要とされる審神者の能力となる。霊力があれば誰でもなれるというわけではない。本丸を管理運営するために一般社会で会社員が務まる程度の能力は必要なのだ。当然、刀剣男士と共同生活するため、或いは審神者同士の交流や担当官との交流もあるため、ある程度の対人対応能力も求められる。現世の創作物にあるような『コミュニケーション障害を持つニート』では適性検査が陽性でも審神者養成所にて退学勧告がなされるのである。

 霊力そのものは個人によって上限がある。ロールプレイングゲームのHPやMP、SPのようなものと考えると判りやすい。この霊力は刀剣男士の肉体の維持・鍛刀・顕現・手入れ・刀装作成・本丸の浄化及び維持に使用される。使用した霊力は徐々に自然回復する。通常の本丸運営であれば霊力が枯渇することはないし、一晩眠れば全快する。

 現在、審神者の霊力の合格ラインは24振(4部隊)の刀剣男士の肉体を維持し、プラス太刀6振の重傷連続手入れを行なっても枯渇しない量を持っていること、鍛刀・顕現・刀解・錬結ができることになる。つまり、審神者となったからといって霊力量的に全ての刀剣男士を顕現できるとは限らない。自身の霊力量を正確に把握し、刀剣男士の所有計画を立てることも重要であることを忘れてはならない。なお、霊力量によっての刀剣男士所有限界数は担当官及びこんのすけが把握しており、審神者就任年数(審神者錬度)や年齢によって変化するため、随時確認することを推奨している。また、これも現世の創作物にあるような『霊力が少なくて本丸維持が出来ない、鍛刀出来ない、顕現出来ない』ということは有り得ない。

審神者適性検査

 日本国に生まれた日本国籍を有する全ての国民は全ての健診によって霊力測定を受けることとなる。これは幼少期に霊力を持つことによって人ならざるものに害されたり、それによって周囲の無理解から精神的迫害を受ける事例が少なくないためでもある。審神者になるかどうかは別として、霊力を持つことによって現世では生きにくい子供に関しては審神者初等学校にて霊力制御の基礎を学ぶことが可能である。

 年に一度の政府によって行われる健康診断は小学校入学以上の国民は全て受ける義務がある。小学生・中学生・高校生・大学生・専門学校生は毎年4月に校内で実施され、学生以外の国民は各地方自治体が年に3回実施する診断を最低1回受けることとなる。これらの健康診断に審神者適性検査も含まれる。

 この検査で陽性反応があった者に対して、歴史保全省から健康診断から2週間ほどで『審神者養成所受験案内』が送付される。なお、初等学校・中等学校については途中入学(転入)が認められているが、これは審神者になることよりも霊力制御を学ぶための意味合いが大きい。

 審神者養成所受験は本人の意思に任されており、家族・政府その他による強制は許されていない。また、受験しなかったからといって不利益になることはない。毎年受験案内が届くケース(陽性反応が出れば当然案内が送付される)もあるが、同封されている『審神者任官拒否表明書』を返送すれば、以後は送付されない。これもまた、返送したからといって罰せられることも不利益になることもない。なお、能力保持者の安全対策のため、宮内庁神祇局(および各都道府県の支部)において能力封じの術を施されることを推奨する。

 また、特に能力の高い適性者に関しては直接歴史保全省の職員がスカウトに向かうこともある。この場合はスカウト受領=入学試験合格という扱いになる。当然ながらスカウト前には素行調査もなされる。霊力のみでスカウトされることはない。事実、素行調査の結果人柄に問題があったり、性癖に嗜虐趣味・幼年趣味があったためにスカウトされなかったケースもある。

審神者養成所入学試験

審神者初等学校・審神者中等学校
義務教育の公立学校と同じ扱いのため、無試験。審神者適性検査の陽性反応だけで入学・転入可能。
審神者高等学校
東京都公立高等学校の入学試験と同じ試験問題(5教科5科目)・小論文(審神者志望動機)・面接
審神者短期大学
  • 筆記試験(マークシート):国語・数学(中学卒業程度)・日本史・一般教養
  • 筆記試験(記述論述問題):歴史認識・神々への敬意
  • 実技:掃除・洗濯・調理の家事、パソコン操作
  • 面接:面接官は歴史保全省対策局局長・宮内庁神祇局局長・宮内庁神祇局陰陽部部長・陸軍歴史保守部隊長・審神者短期大学学長

4.研修制度

審神者養成所

 1項にて説明している4つの養成所が存在するが、初等学校・中等学校においては飽くまでも審神者制度は概要を学ぶ程度に留められ、制度詳細・刀剣男士詳細・実務や実技は高等学校及び短期大学にて修養することとなる。

 授業内容は審神者制度、審神者制度に関する法令、日本の歴史(流れと戦場となっている時代の詳細)、刀剣の歴史、祝詞体系と祝詞詠唱・祝詞作成方法、呪術(結界術・祓い・護身術)、戦術などを中心として、審神者として刀剣男士を率いるために必要なことを学ぶ。実践訓練として鍛刀・刀解・錬結・刀装作成・手入れも学ぶ。この指南書は既に審神者の任に就いている者を対象としているため、詳細は割愛。

 また、養成所の教師は普通課高等学校のカリキュラムについては霊力なしの通常の高等学校教諭免状を持った教師が務め、審神者教育に関しては歴史保全省対策局審神者管理部教育課と宮内庁神祇局の職員が出向し講師となる。なお、年に数回特別講習が行われ、その際は特別講師として現在任に当たっている審神者にも要請が行くことがある。

本丸実地研修

 養成所の実質的な卒業認定試験に相当する。審神者高等学校であれば第3学年の10月に1か月間、審神者短期大学であれば第2学年の2月に1か月間、既存の本丸に滞在し、実地研修が実施される。但し、実地研修前に査定が行われ、この査定に通らなかった場合は審神者資格なしと判断され、審神者候補資格を喪失、退学処分となる。その際、該当する学生は審神者能力を封じられ(正確には消失させられる)現世に戻されることとなる。実地研修で不合格判定の場合、高等学校であれば歴史保全省職員養成カリキュラムへの移行もしくは審神者短期大学への進学かを選択する。審神者短期大学の場合は歴史保全省職員養成カリキュラムへと移行する。但し、これらのカリキュラムはイコール歴史保全省職員となるという意味ではない。歴史保全省職員となるには当然ながら大学卒業資格必須であり、国家公務員試験に合格しなければならない。カリキュラム修了のみであれば歴史保全省職員ではなくその他関係のNPOへの就職が斡旋される。

 この実地研修は審神者と同じく本丸に住み込みで行なわれる。しかしながら、本丸本殿に主たる審神者以外の霊力があるのは好ましくないため、研修生の居住スペースは離れであることが義務付けられている。なお、離れは研修生受入本丸の場合無料でデフォルトタイプが設置される。研修生には本丸に赴く前に霊力を封じる咒を掛けるが、念のために本殿には住まわせないこと。

 研修生は毎日の研修日報記載と提出が義務付けられている。研修先の審神者も研修生の状況報告を毎日行なう義務がある。研修先審神者の状況報告は最終試験の重要な判断材料となるため、一切の遠慮・配慮・忖度なしに報告すること。また、著しく品行の良くない場合、研修に意欲を見せない場合、刀剣男士からの評判が良くない場合はこんのすけを通じ、直接神祇局へ連絡を。一旦養成所に研修生を引き取り、調査の後再研修か審神者候補生資格喪失かが決定される。なお、再研修の場合は別本丸への派遣となる。また、研修生側のみではなく研修先本丸についても監査部による聞き取り調査が行われ、万が一虚偽の報告により研修生を追い出した場合は相応の処分が科せられる。

 なお、研修生受け入れ期間中は日課任務が一部免除される。どの程度免除されるかは普段の業務内容によって異なるため、担当官より受け入れ要請時に提示される。

 研修すべき内容や報告書式については、別途受入本丸に配布される『審神者研修指南書(指導審神者用)』を参照のこと。

各種講座研修

 審神者生涯学習センターにて行なわれる各種講座を受講することによって、養成所で学んだ知識のブラッシュアップやレベルアップを図ることが出来る。

 学習センターでは主に宮内庁神祇局職員による術の実践講座や政府所属の刀剣男士による護身術講座といったもの、歴史や文学、茶華道などの教養講座も開講される。受講料は無料(但し、教材費などは実費)のため、時間を工面しての受講を勧める。

 詳しい講座内容は巻末資料及び歴史保全省ホームページを確認のこと。

再研修

 実際に審神者業務に就いた後、著しく戦績が不良である場合や本丸運営に不備がある場合、半年から1年の再研修が課せられることがある。

 再研修期間中も通常任務は課せられるが、鍛刀・演練については免除(という名の禁止)される。また、研修期間中は支援審神者(第7章にて解説)が監視を行なうものとする。

 これは研修というよりは矯正であり、逮捕収監一歩手前の犯罪者予備軍と認定された審神者に課せられるものである。

5.審神者の身分と職能

 審神者は特別国家公務員で陸軍特殊部隊の軍人である。歴史保全省に出向し、歴史保全省対策局審神者管理部審神者課職員となる。陸軍下士官としての階級は任官当初は陸軍軍曹だが、年に2回の査定によって昇降格がある。現在、将官2名、佐官14名、尉官50名。尤も割合の多いのは軍曹で全体の8割がこれに相当する。

 審神者IDと号

 審神者は安全のため本名などの個人情報の一切が伏せられており、公式記録にも一切掲載されない。そのため、9桁の審神者IDで各個人の情報や戦績は管理される。各種書類、給与、申請などは全てこの審神者IDによって管理されるため、紛失などしないように留意すること。審神者証は本丸から出る際には必ず携行しなければならない(審神者証は決済IDカードも兼用)。

①審神者任官年 ②出身(C=審神者短期大学卒 H=審神者高等学校卒 S=スカウト) ③性別 ④卒業時席次

 

 審神者号は自分で決めることも可能ではあるが、現在は研修先審神者(師匠)に付けてもらうことが主流となっている。号として使用できる言葉には制限があり、漢字1文字から10文字までの日本語であることと定められている。配属同国に既に同名の審神者がいる場合にもその号は使えない(他管理国であれば問題はない)

 ※歴史修正主義者のテロ対象であるための防止策であり、神隠し対策ではない。一部の者に誤解があるようだが、個人情報を刀剣男士に知られても立場逆転や魂を囚われるようなことは絶対にない。囚われていると思っている場合は単なる審神者或いは刀剣男士の思い込みに過ぎない。

審神者の職能

 審神者の役目は刀剣男士を集め、鍛え、戦場に送り指揮を執り、傷を癒すことである。付随して肉体を持った刀剣男士が健全な肉体と精神で職務に勤しめるよう、生活環境を整えることもその役目となる。

 審神者は刀剣男士に肉体を与えその戦いの指揮を執ることから、刀剣男士の上官であり、刀剣男士の時代認識によると主君となる。審神者はその契約により顕現する刀剣男士の主(主君)となり、刀剣男士と主従関係を結ぶこととなる。そのため、刀剣男士によっては『主にふさわしい振る舞い』を求められることとなるため、必要に応じて特別講座を受けるなど、主たるにふさわしい品位や教養を身に着けることが推奨される。

 具体的な職務については『第7章 業務』にて解説する。

所属国

 審神者は便宜上、70の国に分かれて配属される。これは飽くまでも1万人を超える審神者を管理するうえでの便宜上の所属国であり、国ごとに指揮系統が異なるというわけではない。また、実際に各人の本丸が該当する地域に所在するというわけでもなく、本丸はこの地球上のどこでもない亜空間に存在している。なお、所属国が実際に関係するのは国別会議や演練程度のものであり、娯楽的に行われる国別対抗野球大会などで関わる程度である。

 これらの地域は現世の都道府県と同名にすると何らかの影響が出てしまう可能性があるため、律令制での統治区分での国名を利用している(所謂律令国。律令国ではない蝦夷・琉球も追加)。

勤務形態

 審神者の勤務形態は、前線基地(通称本丸)に住み込みの常駐勤務となる。基本は週5日40時間勤務だが、戦況を鑑み、審神者及び刀剣男士相談の上、各本丸に一任するものとする。

 有給休暇は着任7ヶ月目から取得することが可能。着任1年目は年間6日、以降勤続1年ごとに6日ずつ増加し、最大30日まで増える。なお、年度(4月から翌年3月)で消化し切れなかった有給休暇は次年度に15日まで持ち越すことが可能であり、最大45日の有給休暇が認められる。但し、審神者が本丸に不在になる場合は、刀剣男士の顕現維持・本丸への霊力供給の観点から連続休暇は最大10日である。有給休暇の取得については、希望日の1ヶ月前までに担当官に申請すること。なお、慶弔休暇は有給休暇とは別途取得可能。

給与

 審神者の俸禄は完全月給制であり、月末締めの10日支給となる。基本給は階級及び前月末の刀剣男士数によって決定する。

 審神者の個人情報を政府では一切登録していないため、給与は自動的に審神者銀行の審神者個人口座への振込みとなる。現世の所持口座への入金は各個人の責任において行なうこと。

基本給(階級:軍曹の場合)
  • 刀剣男士数24振以下:基本給15万円+上限手当(錬度上限刀剣男士数×500円)+ランク手当
  • 刀剣男士数25~36振:基本給18万円+上限手当(錬度上限刀剣男士数×500円)+ランク手当
  • 刀剣男士数37~48振:基本給21万円+助言手当(錬度上限刀剣男士数×1000円)+ランク手当
  • 刀剣男士数49振以上:基本給24万円+上限手当(錬度上限刀剣男士数×1000円)+ランク手当

※ランク手当:前月度のランクによって変動

  • 審神者ランクSS:+5万円
  • 審神者ランクS :+3万円
  • 審神者ランクA :+1万円
  • 審神者ランクB :+5000円
  • 審神者ランクC :なし
  • 審神者ランクD :-1万円
  • 審神者ランクZ :-3万円
  • 審神者ランクZZ:-5万円

 また、半年に一度の業務査定により、上記基本給は増減する。戦績及び運営状態が良好であれば最大100%増、不良であれば最大50%減となる。

 夏季(7月)・冬季(12月)には賞与を別途支給するが、これも上記と同じく業務査定により金額が決定する。

 なお、刀剣男士に対しても別途給与(日給月給制)及び賞与を支給し、各刀剣男士用口座への振り込みとなる。初期は日給1000円だが、半年に一度の査定(査定対象は刀剣男士ではなく審神者)により最大日給1万円まで昇給する。当然査定結果によっては減給する場合もある。

審神者ランク

 戦績ランキングとは別に審神者個人の成績を絶対評価で判定したランクづけで、各月毎・年間のランク付けを行なう。

 戦績ランキングは相対評価のため給与査定などには関係しないが、審神者ランクは審神者及び本丸個別の成績(絶対評価)であるため、各種査定や給与・賞与・退職金など様々な面で影響する。

 各ランクの基準は以下の通り

ランク 評価 月間戦闘数 年間戦闘数
SS 優良 基準稼働日数×90戦以上 22950戦以上
S 基準稼働日数×50戦以上 12750~22949戦
A 基準稼働日数×12戦以上 3060~12749戦
B 基準稼働日数×11戦以上 2805~3059戦
C 基準稼働日数×10戦以上 2550~2804戦
D 怠惰 基準稼働日数×8戦以上 2040~2294戦
Z 怠惰 基準稼働日数×6戦以上 1530~2039戦
ZZ 怠惰 基準稼働日数×6戦未満 1529戦以下

定期健康診断

 審神者は着任から1年に1度、政府指定の医療機関(基本的に守宮記念病院)にて健康診断の受診が義務付けられている。これは健康状態はもとより、本丸という閉鎖空間で刀剣男士に囲まれた唯一の人間という特殊環境にある審神者の精神状態の確認、及び霊力の変化を調べるためでもある。

 霊力値がその時点での所属刀剣男士数の維持及び太刀6振の重傷連続手入れが困難な数値となった場合は、審神者任務継続困難として退官勧告がなされる。勧告といってはいるが、実質退官命令である。

6.退官

 審神者は基本的に終身雇用であり、殉職或いは霊力枯渇による退職以外は認められていない。これは刀剣男士が審神者を主君と認識しているからでもあり、また、審神者自体が国家機密の多い職であるためでもある。自己都合による退官が認められないことは養成所入学前に提示されており、それに同意したからこその審神者就任であるため、異論は認められない。

 退官もしくは殉職により審神者が不在となった場合、刀剣男士は刀解か継続かを選択することとなる。刀剣男士の5割が継続を選択した場合は継続を選択した刀剣男士とともに本丸そのものを次の審神者へと引き継ぐこととなる。5割未満の場合は個別に譲渡される。

退職金

 霊力枯渇による退職の場合、退職金は『退官時の基本給×勤続月数×審神者ランクによる評価倍率』となる。

 審神者ランクによる評価倍率は当然SSが最も高く、ZZは1未満となる。

退官時の護衛

 審神者は特殊能力を持つ職種であり、かつ歴史修正主義者のテロ対象でもある。これは霊力枯渇による退官後も変わりはない。そのため、退官に際して1振の刀剣男士を現世へ伴うことを義務付ける。なお、伴う刀剣男士は原則初期刀とする。

刀剣男士の引継ぎ

 審神者は退官確定後、刀剣男士の進退を全刀剣男士に確認する義務がある。確認後、それぞれの書式にて刀解刃数・引継ぎ刃数を報告する。

 所属刀剣男士のうち、半数が引継ぎを選択した場合、本丸は解体されず、後任の審神者が着任し本丸を丸ごと引き継ぐこととなる。半数未満の場合はそれぞれ個々に別の本丸へと移籍する。なお、その際に刀剣男士の要望は殆ど聞き入れられない。戦力として必要な本丸を審神者管理部及び宮内庁監察局が判断し、振り分けることとなる。また、希望があれば、本丸所属ではなく歴史保全省審神者管理部または宮内庁監察局に所属することも可能。

 なお、引き継がれた刀剣男士は契約書き換えの際に現身を構成する霊力も書き換わるため、錬度や能力値が初期化する。