もう直ぐ大将が審神者になって、オレたちがこの本丸に来て1年が経とうとしてるころ、その知らせはやってきた。
「極、かぁ。どんなのだろうね」
今回の知らせではオレと乱、五虎、
「厚、乱、五虎、ひぃ、お前ら修行に行かないのか?」
ある夜、粟田口の短刀だけで薬研の部屋に集まってるときに、薬研がそう言い出した。きっと中々修行に出ないオレたちのことを気にしてたんだろう。うちの短刀は全員、極修行の条件である錬度60をとっくに超えてカンストしてるからな。うちの本丸でカンストしてねぇのは
オレもなぁ……修行は迷ってるんだ。修行道具が1つしかねぇし、どうしたもんかと。それに。
「うーん、なんかさ、こういうのって、やっぱ最初は薬研からじゃねーかなぁって」
「そうですね、薬研兄さん、初鍛刀ですし」
「僕たちがそれを差し置いていくのは……ふぇぇ……」
「あるじさんも、多分薬研兄から出したいって思ってるんじゃないかなぁ」
オレに続いてひぃ、五虎、乱も言う。やっぱり全員同じこと思ってたか。
そう、薬研だ。薬研は大将の初鍛刀で、第一の懐刀だ。実際にはオレと薬研の顕現は四半刻くらいしか違わねぇんだけど、でもやっぱり初鍛刀かそうでないかはデカいんだよなー。最初に大将に作られて呼ばれた刀ってのは、初期刀と同じくらいに特別なんだ。オレたちからしてみると。
特に薬研はその性格──大将たち審神者に『お前のような短刀がいるか』『短刀の
因みにうちの本丸の粟田口限定だとは思うんだけど、発言力・影響力の強さはダントツで薬研が最上位。その次が
「最初は歌仙さん出したいんじゃないか。初期刀だし」
大将が一番頼りにするのは初期刀の歌仙さん。だから、詳細不明な『極』もまずは信頼する歌仙さんに試してほしかったんじゃねーかなと思う。
実は錬度上限に達するとき、当時の第一部隊だった光忠さん、
「だが、俺っちも歌仙の旦那もまだ御上が極とやらを許してねぇからなぁ。それを言っても仕方ねぇだろ」
薬研は気にするなというように苦笑する。薬研、水臭ぇぞ! オレたち兄弟にまで隠さなくてもいいじゃねーか。本当はお前が最初に修行に行きたいんだろうが。
「うーん……でもよぉ。修行の行き先も判らないし、強くなれるってのは判ってんだけどよ。なんか判らないことだらけで胡散臭いっていうか」
大将も『極』の情報を集めてくれてる。その結果、能力値がかなり上昇するのは判った。なんつっても大太刀にも劣らねぇ打撃や太刀並の能力値を得ることになる。機動なんか長谷部の倍の速さになるらしい。だから、早く修行に出てぇとも思う。その一方で修行内容が一切判らねぇから、不安もある。
「そんなこと言って、大将の傍を離れるのが寂しくって嫌なんじゃねぇのか」
オレが遠慮してるのを感じ取ったのか、薬研が揶揄うように言う。大将の側を離れるのが寂しいって、オレは五虎じゃねぇよ!
「そ、そんなこたぁねぇよ!」
「えー、ボクはそうだなー。4日間もあるじさんと離れるなんてなんか怖いよ」
オレが即座に否定すると、乱は素直に寂しいと言った。うん、乱は結構大将に甘えてるからな。毎朝
「そうですね。顕現してからずっとお側におりましたし……」
オレたち兄弟の中でも特に『お付の刀』としての意識の強いひぃも言う。弟たちの中ではひぃと
「修行に出発するのに必要な修行道具が一式しかないから、当分一振しか修行には出られないんだけどねー」
まぁ、乱の言うとおりなんだよな。現状、うちの本丸じゃ、極修行に出かけられるのは1振だけ。次にいつ必要あいてむである修行道具一式が手に入るか判らねぇ状況だと、やっぱり様子見になるよなぁ。
「だがな、新しいステージの延享。あそこは極がいねぇと厳しいって噂だぞ。うちはまだ延享に行っちゃいねぇが、もう直ぐ岩さんも曽祢さんもカンストするからな。そうすりゃ延享進軍だ」
そう薬研が言うのに、考えざるを得ない。薬研は大将の初鍛刀ってこともあって、歌仙さんに次ぐ大将の片腕だし紛うことなき懐刀で、本丸の運営にも関わってる。自分や兄弟のことだけじゃなく、本丸運営の目線……大将に添った目線で物事を考えてるからな。
極になるといろんな能力値がかなり上昇する。それに俺たちの稀少度とやらも上がって、刀装も2つ着けられるようになる。能力値だけでいえば、生存と衝力以外は他のどの刀種よりも高くなるんだ。
「うーん……だったら、やっぱり極になったほうがいいのか」
今、極修行が許されている4振の中で出立するとなれば、オレだろうと思う。ひぃと五虎はまだ怖がってる部分があるし、乱も迷ってるみたいだし。オレは薬研と並んで短刀の中じゃ『兄貴分』だしな。ここは、オレが行くのがいいのかも。
「……よし! じゃあ、オレがまず修行に出てみる。ここはアニキの役割だろ」
ニカっと笑ってそう言う。不安はあるが楽しみでもある。
そうと決まれば即行動だな。明日の朝、大将に修行に出ることを願い出よう。
「薬研、今回はオレが先陣努めさせてもらうぜ! 悪いな」
「ああ、頼むぜ、兄弟」
ニヤリと薬研が笑う。うちの本丸じゃ、薬研とオレがつーとっぷってヤツだ。大将がそう遇してくれてるんだから、期待には応えねぇとな。
ってことで、翌朝、オレは大将の元に赴いた。大将の隣には今日の祐筆であるいち兄もいた。
「なぁ、大将、頼みがあるんだが」
そう言って、オレは大将に修行の旅に出たいと申し出た。すると大将はクスリと笑った。
「薬研や歌仙に遠慮してたのかな? 厚は直ぐに申し出てくるかなと思ってたけど、意外と時間かかったね」
どうやら大将にはオレの迷いもお見通しだったみたいだ。
「まぁ、そんなところだな」
「そう。厚もいい子だね。──厚藤四郎、修行に出ることを許可します。己の欲するままに己を磨き高め、より強く靭やかに逞しい厚藤四郎となり戻ってきなさい。待っていますよ」
大将は『将』の顔をして、そうオレに命じた。普段はおっかさんみたいな優しい顔をしてるのに、時折こうして嘗てのオレたちの主のような顔を見せる。
「御意」
だから、オレも頭を垂れて
こんのすけに案内されて御上の庁舎に赴き、そこで修行先へと送られた。オレが送られたのは、嘗ての主の1人、黒田如水様の下だった。太閤殿下の二兵衛といわれたうちの1人で、名軍師と言われたお人。この黒田家で博多や長谷部、日本号、お小夜にも出会ったんだったな。
流石の名軍師だけあって、学ぶことは多かった。ただの刀だったら必要のないことばかりではあったけど、『刀剣男士』として大将を支える身となった今、全てが大切なことばかりだった。
大将は戦と縁のない時代に生まれ育った女人だ。嘗ての主たちに比べれば『将』として不足しているところは沢山ある。けれど、最も大切な『覚悟』は確り持っている。それさえ持っているのならば、後はオレたち配下が支え手助けすればいいだけのことだ。
正直にいえば、戦を知らぬ女人である大将を侮るヤツがいなかったといえば嘘になる。でも、それは最初だけだ。大将を知るにつれ、本丸の皆は大将を守り支え盛り立てようとする。それは大将の覚悟を身を以って知るからだ。
最初は大将も甘いところがあったという。それを知っているのは初期刀である歌仙さんだけなんだけどな。初陣で歌仙さんは重傷を負った。刀装なしの単騎出陣。重傷を負うのは既定だったらしい。折れる寸前で帰城した歌仙さんの姿を見て、大将はここが戦場であることを実感し、自らを戒めたのだろうと歌仙さんは言っていた。
『気丈に振舞っていたよ。女人であれば泣き叫んでも、真っ青になって卒倒しても可笑しくない傷だった。けれど主は僕を抱えるように支え手入れをした。唇を噛み締め真っ青な顔をしてはいたけれど、涙は見せなかった。主として涙を見せてはいけないと思ったのだろうね』
初日の夜、薬研とオレ、まぁと乱と
大将はオレたちには決して涙を見せなかった。戦を知らぬ女人には恐ろしいことだって多かったはずなんだ。歌仙さんの初陣然り、検非違使初遭遇然り。
あのときはオレも怖かった。戦場を知っている刀剣のオレですら、仲間を失う可能性に恐怖を感じた。戦を知らぬ大将なら、オレたち刀剣を我が子や兄弟のように思っている大将ならなおのこと怖かったはずだ。でも、大将は泣かなかった。真っ青な顔をしてはいたけれど、懸命に手入をし、そして傷を負った6振に頭を下げた。己の失策で傷を負わせてしまって申し訳ない、と。
正直なところ、頭となる大将が軽々しく頭を下げるのはどうかと思いはした。間違いを認めることも謝罪することも、配下に侮られることになりかねないからな。でも、不思議と大将を侮る気持ちなんで湧いてこなかった。それは他の刀剣たちも同じだったみたいで、何処か大将を女人だからと侮っていた節のある刀剣たちもこのときに認識を改めたみたいだった。
『大将は強ぇお人だな。だが、本質はお優しい、弱いお方だ』
『ご無理なさらぬよう、僕たちが確りお支えしなくてはなりませんね』
大将の力で顕現しているオレたちだから、なんとなく大将の人柄や性質は判る。歌仙さんの話を聞いて、検非違使に遭遇した後の大将を見て、オレたち短刀は大将の懐刀たるべく、改めて覚悟を決めたんだ。オレたちの役目は歴史修正主義者を倒し、歴史を守ること。でも、同時に主である大将を守ることも同じかそれ以上に大切な役目なのだ。特に最も近くに侍る性質を持つ、オレたち短刀は。
オレも薬研も嘗ての主を守りきれなかった過去がある。『所有者の腹を切らない吉光の短刀』といわれたオレたちではあるが、オレも薬研も主の腹を切ったともいわれている。切腹は武士の尊厳を守るだとか、本当に罪のある者は切腹すら許されないとか言われているが、そんなのは後世の『武士道』で人間が勝手に考えたことに過ぎない。切腹は自刃に他ならないんだ。主を守るためにある短刀が、主の命を奪うのは『己の役目を果たせなかった』ことに他ならない。主が天寿を全うし穏やかに眠ることこそが、オレたち『守り刀』の誉れなんだ。
だから。今度こそ、オレは『吉光の短刀』として、大将を守りきる。この戦いが終わり、オレたちが役目を終え大将が平和な世に戻るまで。或いは大将が穏やかな眠りに就くそのときまで。
修行を終え、これまでの戦装束から新たな装束に替え、オレは本丸に戻った。僅か4日離れていただけなのに、なんだか懐かしい。ああ、大将の霊力に包まれた本丸が心地いい。『刀剣男士の厚藤四郎』にとって、こここそが故郷であり、生きていく場所なんだと理屈ではなく感じた。
「見ろよ大将、オレの新しい姿! これからも、いろいろ支えてやるからな!」
「おかえり、厚!!」
オレの顔を見るや否や、大将は嬉しそうに笑ってオレを抱きしめた。オレは余り大将とすきんしっぷとやらをとらねぇからちょっと驚いた。
「なんだか大人びたね」
まるで子供の成長を喜ぶおっかさんのような目で大将はオレを見る。それがなんだかくすぐったい。
「今日はゆっくり休んで。明日、最大まで連結したら早速第一部隊で錬度上げしてもらう。最初は他の短刀たちと池田屋で様子見して、それから状況次第で延享に進軍してもらうからね」
途中から『将』の顔になって、大将は言う。オレが修行に出てる間、一度延享の記憶に出陣したらしい。しかし、あの一軍を以ってしても本陣に辿り着く前に重傷者多数で帰還を余儀なくされたそうだ。
「大将、オレに任せな! 頼りにしていいぜ!!」
とは言ったものの、現実は厳しかった。オレ1人が加わったところで本陣突破は出来なかった。オレが加わる前よりは先に進めるようになったらしいが……。結局、消耗が激しすぎるということで、最低もう1人極男士が出るまでは無理な進軍はせず、慎重にゆっくりと進むことになった。
そう方針が決まったころ、今剣、前田藤四郎・愛染国俊、小夜左文字・秋田藤四郎と、初期実装の短刀たちの極修行の許可が次々と下りた。なのに、肝心の薬研藤四郎は中々御上が修行許可を出さない。多分、何処に修行に出すのかが複雑なんだろう。
「俺や後藤兄、
はぁと溜息をつきながら博多が言う。粟田口短刀勢ぞろいの薬研の部屋でのいつもの粟田口短刀みーてぃんぐだ。
「うちにはいねーけど、不動行光や太鼓鐘貞宗も後から参戦だしなー」
それに同意するのは後藤。博多も後藤も後から参戦した刀剣男士だからな。どうやら御上は『初期実装』といわれる刀剣から極修行を許可してるらしい。
「でも薬研兄は初期組だよね。なんでまだ極実装しないんだろうね」
「俺っちが知るか」
しぃの言葉に薬研がむっつりと応じる。それを極修行許可の下りてる面々はただ黙って眺めるだけだ。他の初期組短刀全員、極修行の許可が下りてるのに、よりにもよって大将の初鍛刀で第一の懐刀である薬研にまだ、許可が下りてねぇ。早いとこ、許可が下りねぇもんかな。まぁ、うちには今修行道具は1つもないから、許可が下りても誰も修行には行けないんだが。
「苛付いとぉね、薬研兄」
「そりゃ薬研は大将の初鍛刀だからなぁ。本当なら真っ先に修行に行って大将に強くなったところを見せたかったんだろうぜ」
「薬研兄、大将の絶対的懐刀だもんねー。羨ましいなぁ」
珍しく露骨に不機嫌な表情をする薬研に後発組の博多と後藤としぃはヒソヒソと声を潜めて言い合う。短刀の中じゃ薬研は他の刀剣男士に一目も二目も置かれてるし、弟たちにすりゃいち兄とは別の意味で『憧れの兄貴』だ。同じ短刀である分、いち兄やばみ兄に対するよりも憧れは強いかもしれねぇ。特に後期顕現の博多・後藤・しぃは薬研を目標にしてるっぽいしな。
「けど、厚兄、強くなりすぎばい。ステータスがいち兄や鳴叔父貴よか強かて、極怖かー」
「いち兄レア太刀なのにねー。生存と衝力しか勝てないって……」
「みか爺も密かに落ち込んでたぜー」
「
薬研に対しては触らぬ神に祟りなしとばかりにスルーすることを決めたらしく、3振の話題はオレの能力に移った。確かに、オレも自分で驚いたけどな!! 体軽くなって動きやすくなったし、敵の気配も前以上に察知できるし、何より力が強くなって打たれ強くなった。第一部隊の殆どが中傷以上の傷を負う中、オレだけが軽傷未満、なんてこともあったりするし。
「……でーたによると小夜左文字の極は石の旦那より打撃が7強いぜ」
3振の声が聞こえていたらしい薬研が暗い声ながらも応じる。自分にだけ未だに極修行の御上の許しが出ないことに対して色々思うところはあるみたいだけど、なんとか前向きになろうとはしているらしい。
「……極って本当に短刀か?」
大太刀より強い短刀ってなんだよと後藤が呟く。まぁ、それはオレも思ったけどな。
「でも大将言ってたよね、多分、全刀剣極あるだろうって。刀帳番号ってのが、厚兄33だったのに34になっているって言うし、俺たちの番号1個飛びだし」
しぃの言うとおりだろうな。どれくらい後になるのかは判らないけど、多分、全刀種極修行には出ることになるんだろう。
「そうだな。短刀でこれだけ強くなるなら他の刀種はもっと強くなるんだろうなぁ……」
薬研、暗いっ!! 普段の男前なお前は何処に行った!? 大将や他の刀剣の前ではおくびにも出さず、粟田口にしかこんな姿を見せていないのは、薬研の強がりなのかなんなのか。
まぁ、大将も歌仙さんも光忠さんも気付いてるけどな。
因みにこんな薬研の姿を見て、博多と後藤としぃは(早く薬研兄の極決まってくれ!! 薬研にカビが生える!!)とか思ってたらしい。
待ちに待った薬研の極修行許可が御上から下りたのは、大将が審神者になって1年が過ぎた次の日のことだった。
オレは知ってる。その知らせを聞いた薬研が誰もいない(と思っている)納戸の隅で『よっしゃ!!』とガッツポーズをしていたことを。
でも……道具がねぇんだよな。
「薬研を修行に出すためにも旅立ちセットを揃えなくてはね」
「延享の江戸城下までクリアすればいいんだよね」
「そうですな。中々厳しゅうございますが」
薬研がどれだけ極修行を待ち望んでいたか、祐筆班の大人たちはよーく知ってた。特に初期刀と初鍛刀として本丸刀剣男士ツートップに位置する歌仙さん、朝餉作りを一緒にすることの多い光忠さん、そしていち兄。
「俺も頑張るぜ!! 薬研より先に行っちまって申し訳なくて……」
こんなことなら、オレが修行に行かずにいれば、今頃薬研が修行に行ってたはずなのに。そう思っていると、鳴の叔父貴が何故かオレの頭を撫でていた。
「頑張る」
無口なばみ兄も力強く宣言する。うん、ばみ兄も薬研のこと可愛がってるしなぁ。
「みんな、頑張ろう!」
光忠さんの言葉に頷きつつ、歌仙さんが笑う。
「太鼓鐘貞宗も白金台にいるしね」
そう、延享にはずっと光忠さんが会いたがっていた短刀もいるんだった。これは頑張らねば!
「そう言えばそうだけど、今は貞ちゃんより薬研君だよ! あの男前短刀がしょんぼりしてるところなんて見てられないよ」
外見だけでなく内面の『格好よさ』を求める光忠さんにしてみれば、今の薬研は見ていられないらしい。光忠さん世話焼き気質だし、本丸のオカンだし。
「そんな薬研も可愛いですがな」
ぽつりと呟いたいち兄の声は幸い、オレと叔父貴とばみ兄にしか聞こえなかった。叔父貴とばみ兄はなんか呆れたような冷たい目でいち兄を見てたが、これまた幸いにいち兄は気付かなかった。多分、オレも似た目をしてたと思うけど。
「貞ちゃんはまだ実装されて間もないからね! 僕も伽羅ちゃんもまだまだ待てるし、貞ちゃんだって待ってくれるさ」
でも、オレらはまだこのとき知らなかった。延享進軍で手に入るのは全部旅装束だってこと。旅装束ばっかり増えても修行には行けねぇよ!!
そして、それを知った大将は執務室で叫んだ(情報提供:近侍のみか爺)。
「旅立ちセット万屋で売ってくれーーーーー足りねぇよ!!」
薬研が出立できたのは数日後、御上が審神者の要望に応えて修行道具を1つ、全審神者に配ってからのことだった。
──あと7つ配ってくれねぇかな。愛とお小夜がうずうずしてんだよ。